Road to STDE Vol.6 マシンと装備 - 泥沼日誌

2007年6月16日

Road to STDE Vol.6 マシンと装備

この記事は、『サバイバル2Day'sエンデューロin木古内』への参戦を決めてしまったものの、未知の領域へ踏み込んでしまう不安に嘖まれている初心者ライダーに捧げるものです。


エンデューロレースに出場するためのマシン製作やライディング装備などは、人それぞれ好みやポリシーがあったり、コース状況によって変わってくるため、これが正解だと言うことはできません。ここでは木古内向けの一つの例として、私のマシンの制作ポイントと装備を説明します。


■レース車両

木古内の車両規定では、日本国内正規登録されたオフロード二輪車、排気量100cc以上(レディースは70cc以上)法定内の改造または無改造車両ということになっています。昔と違って、国内市販トレール車でエンデューロに使用できそうなモデルが限られているため、ほとんどが国外メーカのエンデューロレーサー、国産の逆輸入車になると思います。
木古内のコースは過去何年にもわたって使用されていて、コースも良く整備されているため、国内市販トレール車でも走れ無ことはないと思いますが、技術が未熟であればなおのこと、走破性能の高いエンデューロレーサーを選択した方が賢明です。

オフロードバイクといっても、エンジン形式や排気量など様々な種類があります。やはり最強と思われるのは、軽さとパワーを兼ね備えた 2ストローク250cc のマシンだと思います。木古内のコースには、長い作業道の登りなど小排気量車には厳しい場所があるため、少しでもパワーに余裕があった方がいいと思います。
それと、初心者の場合、転倒や操作ミスなどでエンジン再始動の機会が多くなると思われるので、できればセルフスターター装備のマシンを選んだ方が、体力の消耗を軽減できると思います。

私は過去に02'WR250Fと98'YZ400Fで参戦しました。
今は、ハイパワーの4ストローク250ccが主流になっていますが、やはりWR250Fだとパワー不足を感じる部分がありました。大きめの石の河原でも、サスペンションなのかタイヤのせいかははっきりしませんが、思いどうりに走ることができませんでした。
YZ400Fの場合、サスペンションが硬めで、ある程度車重があるためか、石の河原は攻めることができました。そのあと転んで抜き返されましたが。

何れにしろ、木古内のためだけにマシンを用意するわけにもいかないので、普段乗り慣れたマシンで参戦することになると思います。


・タイヤ

タイヤはオフロードレースで最も重要なパーツだと考えています。
木古内では、リアタイヤは公道走行可能なエンデューロタイヤを使用することになっています。フロントタイヤは特に規制はありません。
木古内のコースにはあらゆる路面があるため、オールマイティーなタイヤがあればいいのですが、実際にはそんなタイヤはありません。どこかにポイントを絞ってタイヤを選ぶことになるのですが、やはり粘土の作業道や谷地を考えると、ソフト路面用のタイヤがいいかと思います。

木古内では、ミシュラン ENDURO COMPE III や メッツラー 6DAYS などを選ぶ選手が多いのですが、これら国外メーカのエンデューロタイヤはムースの使用を前提に作られているため、チューブの場合リム打ちなどでパンクの可能性があります。実際パンクの被害は多いです。トップグループの選手たちは、ほとんどムースを使用しています。
川の中を走るため、タイヤの内部に水が入り込みホイールが空回りすることがあるので、チューブの場合はもちろん、ムースの場合でもビードストッパーは装着した方がいいです。特に痩せたムースが空回りすると手に負えません。

2日目にタイヤ交換を行う場合は、事前に一度ホイールに組んでおくと交換作業がしやすくなります。当日慌てないように、タイヤ交換の練習も必要です。

私はチューブ使用派なのですが、サイドウオール部分が強化されたブリヂストンの ED668 というタイヤを使用しています。パターンはみるからにソフト用となっていますが、タイヤ自体が硬めなので砂利の路面や岩盤を走っても、意外としっかりしています。このタイヤには、空気圧を落としてもタイヤがリムから外れないように、リムガードという構造が設けられています。タイヤが硬いのでタイヤ交換は苦労します。



フロントタイヤに関しては、モトクロスタイヤも使用可能なのですが、モトクロスタイヤは各路面状況ごとに最も高い性能を発揮できるように作られているため、リアタイヤ以上にピンポイントでどこかの路面に合わせることになると思います。無難に前後同じメーカーのエンデューロタイヤでそろえた方がいいかと思います。


・水対策

木古内で最も重要なマシン製作のポイントは、水対策だと思います。

キャブレターのフロート室を大気圧に開放するために、ベントチューブが取り付けられています。通常はこのチューブはフレームの下の方に垂れ下げられているため、泥が付いたり水に浸かったりすると、ガソリンが吸い上げられなくなります。通常2本付いているはずなので、そのうち一本をエアクリーナ内かガソリンタンク下辺りに持っていきます。FCRキャブレターでは左右2カ所からそれぞれ2分岐して4本のチューブがあります。



YAMAHAのYZ/WR-F系エンジンでは、ヘッドカバーにエンジンブリーザーパイプが接続されていて、そのままフレーム下に開放されています。この開放部分が水に浸かった状態でエンジンを止めると、エンジンが冷えて内圧が下がって、ブリーザーパイプから水を吸い込んでしまう場合があります。水没していないのもかかわらず、エンジンオイルが白濁してしまったという経験をした多いでしょう。これを防止するため、ブリーザーパイプを2分岐して、一方を水を吸い込まない位置まで持っていきます。



2002年のWR250Fでは、エアクリーナボックスの水抜きが透明チューブで栓がしてあったため、水が入っても抜けないようになっていました。YZ400Fは最初からこのように開放になっています。国産モトクロッサーベースのエンデューロマシンではエアクリーナ下部が大きく開放されていて、そこから水が入り込む場合もあるので、ガムテープやゴムシートを張りつけるなどして、水の侵入対策をした方がいいと思います。

また、YZ400Fは純粋なモトクロッサーなので、WR-Fのようにエアクリーナーボックスの蓋がありません。過去に勢いよく川に突っ込んでいった際、タンクの間からエアクリーナーに水が入り込んで、エンジンが止まりそうになったことがあります。隙間にスポンジを詰めるか、蓋を作るかの対策をする予定です。

電装系の水対策としては、プラグコード・キャップ・電線などの被覆のクラックや破れを補修しておくとか、端子部分の泥をきれいに落としておくとかの対策が有効です。純粋な水は絶縁体ですが、水に他の物質が溶けてイオン化すると電気を通すようになるのです。常にマシンをきれいな状態に保つのも重要な整備の一つです。(汚いバイクを例えにして言うのも何ですが)


・泥対策

私は、泥対策は特別なことはやっていません。せいぜいフェンダー裏やスイングアームの付け根、リムの表面などにシリコンスプレーを吹き付けるぐらいです。なぜかと言えば、川の中を走れば、ほとんど泥が落ちてしまうからです。

標準でチェーンカバーが付いている場合は、外さないでそのまま付けておいた方がいいです。タイヤで巻き上げられた泥がチェーンを伝って、ドライブスプロケット側に運ばれて行くらしいです。ドライブスプロケットのカバーは、安全対策からいって外さない方がいいと思います。市販トレール車などで完全カバーされている物は泥詰まりが懸念されるため、社外品のパーツに取り替えた方がいいでしょう。

泥対策とはちょっと違いますが、夏の暑い時期のレースのため、オーバーヒート対策も重要です。最低でもラジエータのリザーバータンクは付けておいた方がいいと思います。GASGASの車両に付いているリザーバータンクっぽい物は、リザーバーとしての機能は持っていないので注意が必要です。
また、冷却液に真水を使うと沸点が低くなるため、オーバーヒートするとすぐ水を噴きます。

YZ400Fにはラジエータ以外何もないのですが、ラジエータファンとリザーバータンクを後付けしています。



あと、ライダーとマシンをつなぐ最も重要な部分であるフットステップですが、長い間使用していると角が丸まって滑るようになります。そうなったら、やすりで削ってやればいいのですが、三角形に研ぐ必要はありません。平らでも角が立てば十分機能します。


・ガード類

木古内では、スタート直後は他の選手と接近した状態で走るため、前走者からの飛び石がかなりあります。怪我や破損を防止するためにも、ハンドガードの装着が不可欠です。金属製にするかプラスチック製か、オープンタイプにするかクローズタイプにするかは、それぞれ個人の好みに合わせればよいのですが、初心者の場合転倒が多いためレバー破損防止のためにも、金属性のしっかりしたハンドガードの方がいいと思います。
ヘッドライトレンズの破損を防止するためにも何か対策をした方がいいでしょう。私の場合は、ゴーグルの使い古しのレンズがぴったりでした。

アンダーガード、フレームガードについては、ウオーターポンプやオイルラインの保護ができる程度の物でいいと思います。大きなアンダーガードを装着すると、隙間に泥が詰まって重たくなります。泥詰まりを防止するには、隙間にスポンジを詰めておく方法があります。値段の高い耐油スポンジでなくても、台所用スポンジでも十分です。



轍走行が多いため、ブレーキペダルが引っかかって曲がってしまうのを防止するため、ブレーキセーバーを装着しています。アンダーガードに、ブレーキペダル保護用の突起が付いている物もあります。

私のマシンは元々は純粋なモトクロッサーのため、保安部品は装備されていません。そのため、市販のパーツ組み合わせて装着していますが、リアフェンダーの剛性が低くて、走行中にテールランプ部分を巻き込んでしまうことがあります。それを防止するために、レンサルハンドルバーのブリッジ部分を利用したサブフレームを仕込んであります。また、ナンバープレートの裏側にガムテープを貼りつけ、振動防止とクラックが発生した場合の破損防止を行っています。せっかくレースを完走しても、ナンバープレートを落としてくるとペナルティータイムが加算されてしまいますから。
保安部品を止めているナットは、全てこのセルフロックナットに交換し、緩みを防止しています。




・その他

木古内では周回チェックにタイムカードを使用します。スタートとゴール以外でも、コース中の中間チェックでも出さなければなりません。そのため、マシンに備えつけのタイムカードホルダーやウエストバッグなどが必要ですが、最近は、ハンドルバーパットにゴムバンドをくくりつけて、その間にタイムカードをはさむという方法が流行っています。これは、1秒を争っている場合はともかく、タイムカード紛失のリスクがあるのであまりおすすめできません。


■ライディング装備

・ヘルメット

ヘルメットはなるべく軽い方がいいです。重いと首が疲れます。あまり古いヘルメットは、頭部保護の点からみても使用しない方がいいでしょう。


・ゴーグル

北海道のオープンエンデューロでは、ゴーグルの捨てレンズは使用禁止です。従って汚れ防止のためにロールオフを装備することになるのですが、川の走行が多い木古内ではフィルムとレンズの間に水が入り込んで、フィルムが貼り付いてしまうことがあります。それを防止するためのテグス張り加工が、いつの頃から行われるようになりました。貼り付き防止のエンボス加工されたレンズもあるのですが、そのエンボスに焦点が合ってしまって非常に見づらい場合があります。
私の周りでは、マッドフラップ(ロールオフバイザー)の隙間から水が入り込まないように、ゴーグルのフレームを包むようにテープを貼ったりしています。
それから、ロールオフフィルムは、きれいな面がレンズ側になるように装着します。




・ブレストガード

木古内では布製の胸ゼッケンを装着して走らなければならないため、大きめのブレストガードではゼッケンが装着できないこともあります。その場合、布ゼッケンのひもを切ってブレストガードにくくりつけてもかまわないようです。


・ブーツ

初心者の場合、押しが入ることもあると思うので、普通のエンデューロ用ブーツがいいと思います。私はビブラムとかタンク底といわれるソール形状だと、ステップに引っかかるのが嫌なので、モトクロス用ブーツを使用しています。平らなモトクロス用ソールでも、角の部分でグリップすれば、ぬるぬる路面でもなんとかなるものです。


・飲料水

長丁場のレースなので、途中で水の補給は必至です。ウエストバッグにペットボトルを入れておくという方法もありますが、普通はボトルやキャメルバッグを背負うことになります。中に入れる物としては、普通の水からスポーツドリンク、機能性飲料など様々ですが、各自の体質などにあった物を用意した方がいいです。
私は、緑茶と水を1:1ぐらいで割った物を入れています。スポーツドリンクや栄養ドリンクはピットに置いておいて、スタート前やピット作業中に飲むようにしています。

飲料水の他に、ラジエータの冷却水の予備として、真水をペットボトルに入れて持ち歩いています。


・携帯工具

ライディングの邪魔になるからといって携帯工具を持たない人もいますが、最低限スペアのプラグとプラグ交換ができる程度の工具は持っていないと、水没即リタイヤということになります。プラグレンチは車両によって専用の工具でなければ使えない場合もあるので、自分の車両にあった工具を持ち歩くようにしてください。
また、パーツが破損した場合の応急修理のために、ガムテープや針金、結束バンドなどを持っておくといいと思います。ガムテープは怪我した場合の応急処置にも使えます。

以下に、私がいつも持ち歩いているウエストバッグの中身を紹介します。



プラグ2本、プラグレンチ(専用)、ガムテープ、結束バンド、ステンレスワイヤー、ボックスレンチ(6-14mm)、ラチェットハンドル、L字ハンドル、エクステンションバー、モンキーレンチ、スパナ(8、10、12、14mm)、ドライバーとヘキサゴンレンチのセット、ニッパー、バイスプライヤー

バイスプライヤーは、折れたレバーの代わりに使ったり、破損パーツの固定に使ったりできるので、大変重宝します。工具はこれ一個でいいと豪語するライダーもいます。


ここに上げた物はほんの一例です。説明の足りない部分もあります。自分のライディングスタイルやレベルに応じて、マシンや装備を選んでください。本番になって慌てないように、一度フル装備で、林道や練習コースなどで走っておくことを進めます。


次は何を説明しようか、思案中です。

つづく

Road to STDE 木古内への道
Vol.1 まずは申込み
Vol.2 参戦準備
Vol.3 レース前のスケジュール
Vol.4 レース当日
Vol.5 木古内のコース
Vol.6 マシンと装備
Vol.7 サバイバル

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