チタニウムバルブ - 泥沼日誌

2008年6月26日

チタニウムバルブ

■木古内から帰ってきて以来、走りたくてムラムラしていたので、先日お亡くなりになったRM-Z250のエンジンをなんとかしてみました。

死亡原因は見当が付いていたので、パパッとヘッドカバーを開けて吸気側のバルブクリアランスを測定。案の定、カムチェーン側のバルブクリアランスが0、というよりマイナス。つまりピストンが上死点にあってもバルブが閉まりきらず圧縮が上がらない。そればかりか、常にバルブがカムシャフトを押し上げているため、フリクションロスが大きくなる。キックが重いのにエンジンが掛からないのはこのためだ。

現代の4ストロークモトクロッサーの性能の根幹を支えるとともに、最大のウイークポイントとなっているのがチタニウムバルブだ。オーナーの方はご存じかと思うが、HONDA CRF250R/Xではバルブの当たり面が摩耗したり、傘がしぼんで長さが伸びてしまったり。チタンバルブの先駆者、YAMAHA YZ/WR250Fでは、吸気センターバルブがストレスで折れてしまったり。そして、SUZUKI KAWASAKI協同開発によるKX250F/RM-Z250の初期型は、僅か2~30時間程度の稼働でバルブの当たり面が摩耗してしまい交換を余儀なくされる。各社改良を重ね、今では少しましにはなったが、それでもモトクロスにフル参戦するライダーなら、1年ごとに交換することになる。

そうして長年のうちに積み重なったチタンバルブの山。

古いバルブ4本ぐらいで新品バルブ1本と交換してもらえないだろうか...
チタニウムは貴重な資源であり値段も高い。交換は無理だろうが、このまま捨ててしまうのももったいない。どこかで再資源化できないのだろうか。

■さて、問題の突き上がってしまったバルブをなんとかしなければならない。新品に交換すればいいのだが、今はそんな金はない。ということでシムを交換してバルブクリアランスを適正値に調整する。カムを外して現在挿入されているシムの厚さを計る。2.875mmだった。最低限、0.1mmのクリアランスを取らなければならないので、2.775mmより薄いシムが必要となる。しかし手持ちのシムのコレクション中には、そんなサイズのシムは無かった。


無い物は作る。同じサイズで複数個あるシムから一つ選んで砥石で削る。指を削るわけには行かないので、ワインのコルクにくぼみをつけて、そこにシムを挟んでひたすら削る。

安物とはいえダイアモンド入りの砥石は良く削れる。すぐに目的の厚さとなった。

早速、削ったシムを入れてクリアランスを計ってみる。0.04mmのゲージが入るか入らないか。まだ削り足りなかったらしい。外も暗くなってきたのでいったん作業を中止。ヘッドを組み立ててキックを手で下ろしてみると、新品同様の圧縮が戻っていた。

前回、クリアランスの調整をしてからエンジン死亡までの時間を考えると、もうこのバルブは表面コーティングされた固い部分がなくなって、中身の柔らかい部分が露出してしまっているに違いない。たぶんこのままでエンジンは掛かるだろうが、いつ突然死するか分からない。

やっぱりバイクを入れ換えないとだめだな。

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