先日行われたワコーズカップでは、周回チェックのミス(?)のため、不明瞭なレース結果となってしまいました。自分としては順位はどうでも良かったのだけど、やっぱりきちっとしたリザルトの掲示をして欲しかったですね。(あったのかもしれないけど見てない)
不慣れなスタッフが多かったせいだと思いますが、やっぱりレース形式を採っている以上、最低限のレース運営の知識は事前に周知徹底して欲しいものです。
ということで、今までレースのお手伝い(下働き)を数多くやって来た経験から、簡単で確実な周回チェックの方法を伝授しましょう。
一斉スタートのタイムトライアル形式のレースでは、周回チェック表と時計が一つあれば、正確な順位が出せるのです。先日のワコーズカップと同じ条件で、周回チェック方法のシミュレーションをしてみます。
まず、こんな表を用意します。わざわざExcelで作ったりとか面倒なことをしなくても、ちらしの裏に線を引いて作ればいいのです。札幌エンデューロでは余ったカレンダーの裏を使ってます。
横に参加ライダーのゼッケンを並べ、縦に周回チェック用の箱を用意します。縦横は好みで入れ換えてもかまいません。
レーススタート後、ライダーが周回チェックを通過するごとに、そのゼッケンの周回欄に正の字を一画づつ書いていきます。あちら風にやるなら、横棒4本に斜め線1本ですね。
それをひたすらゴールまで、間違いなくチェックします。あとでクレームが来ないように、必ず一時停止するようにルールを決めておいた方が良いでしょう。ゼッケン確認前に係員の静止を振りきって通過してしまったら、ペナルティーとしてその周回はチェックしなくてもかまわないと思います。
あと、ゼッケンに泥が付着して読めない場合を想定して、チェックポイントにバケツに水と洗車ブラシを用意しておくと良いでしょう。
さて、レースが進んでゴール時間が迫ってきました。現在、Aクラスのゼッケン3・4・5番が同一周回でデッドヒートを展開中です。誰がトップで周回しているのかは、周回チェック要員なら簡単にわかるはずです。
本来、一斉スタート形式のゴールはトップライダーが最初にチェッカーを受けるべきですが(その方がわかりやすい)、単純にゴール時間でチェッカーを振っても、順位の出し方は変わりません。
いよいよゴールです。ここからが重要ポイントです。
レース終了時は、それまでの周回数とは関係なく、ゴールに入ってきた順番を記録します。この例では、最初にゼッケン10番、その次に21番、3番目はゼッケン12番です。
そして順位の算定です。
Aクラスの3・4・5番が同一周回で並んでいます。同一周回のライダーが複数いる場合は、その周回数の中で、先にゴールに入ってきた順番で順位が決まります。この場合は、4番目で入ってきたゼッケン3番が1位、5番目で入ってきたゼッケン5番が2位、ゼッケン4番が3位となります。
あとは周回数順に同じことをやればよいわけです。クラス別でも、総合順位でも、この表を使えば簡単に順位が出せます。
ただし、スタートに時間差がある場合は、総合順位としては公平ではありませんが。
リタイヤ者が出た場合、それまでの周回数を有効とするか、ゴールをしなければ完走扱いにしないかは、主催者側の判断によります。
一つの考え方として、より短い時間で長い距離を走ったものを上位とするなら、リタイヤ届けが出された順番を控えておきます。ゴール欄にR1とかR2とでもかいておけばわかります。順位算定時に正規にゴールした順番の前にリタイヤ順を並べて、あとは上記の方法で順位を出します。そうすれば、同じ周回数を先に走りきった方が上位となります。
同一周回でも正規にゴールした者を優先するなら、リタイヤ順をゴールした順番の後ろに並べて順位を出せばよいのです。
ワコーズカップでは、周回チェック表を見てないので本当のことはわかりませんが、ゴールした順番を控えていなかったため、周回数のみで順位を出そうとしておかしくなったのだと思われます。
これは、あくまでも一つの例ですが、こういった細かいレース運営のノウハウというものは、マニュアル化されたものは見たことなく、口頭での説明とかレース運営にかかわっていくうちになんとなく覚えた、というのがほとんどだと思います。
今年度の私は、ほとんどレースに出場せず、もっぱらピットクルーやレース役員として、裏方に撤しています。全道モトクロス選手権や全日本モトクロスの役員として、何度かお手伝いさせていただきましたが、ミーティングでも大会役員としての心得みたいなことが説明されることは少なく、おそらく知っているだろうということで全てが進んでいるような気がします。
レース参加者を増やすのもいいのですが、レースを運営する方の人材の養成も必要なのではないかと思います。この辺り、今までに数多くの経験をされている各レースの主催者や、統括団体であるMFJなんかが、より積極的に関与していただきたいものです。
微力ながら協力のつもりで、この記事を書いてみました。
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